昆布(コブ)

 昆布巻き。我が家では、子供たちに敬遠されるおせち料理でした。手間がかかることもあり、昆布が主役の料理は、我が家ではすっかり姿を消してしまいました。しかし、薄切り豚肉を塩昆布と一緒に炒めたり、焼きそばやチャーハンの隠し味は昆布茶を利用するなど、昆布は脇役として大活躍です。

 そんな昆布。アルギン酸(ぬめり成分)、カリウム、マグネシウム、ヨード、カルシウム、ビタミン、鉄、グルタミン酸、ラミリン、食物繊維などを豊富に含みます。カリウムが高血圧の原因となるナトリウムを排出するため、高血圧予防によいとされていますし。また、昆布の細胞と細胞をつなぎあわせているアルギン酸は、コレステロールなどを包み込んで体外に排出したり、便秘解消にもつながるといわれます。また、ヨードを含むため甲状腺ホルモンの原料にもなり、まさに健康食品そのものといった感じです。

ところでこのヨード。世界的には不足しているところが多く、その不足を補うために塩にヨードを添加することで、摂取不足を補えるように工夫がされたりしています。しかし、日本ではヨードの過剰摂取が問題になっています。ヨードを原料として甲状腺ホルモンが作られるのですが、ヨードが過剰になると、ヨードの量だけ甲状腺ホルモンをつくると大変とばかりに、これ以上甲状腺ホルモンを作らないようにと、体が司令を出します。その結果、甲状腺ホルモンの合成が抑えられ、甲状腺機能が低下した状態になります。昆布なんて食べないという方でも、カップうどんなどインスタント食品を召し上がる方もいらっしゃるでしょう。これら昆布だしを使用したインスタント食品にもヨードは多く含まれているので要注意です。

 また、医薬品にもヨードを含むものが沢山あります。市販の風邪薬に含まれるヨーカイソプロパミド、不整脈の治療に使用されるアミオダロンなどはヨウ素を含むため、併用時はヨウ素過剰症の可能性に注意が必要です。また、最近喉に吹きかけるヨードの消毒剤も販売されていますが、これらの使用も必要最低限にしたいものです。


 ところで、昆布のヌメヌメ成分のアルギン酸。このアルギン酸から作られた繊維が、止血効果のある救急絆創膏のパット部分や、創傷被覆材に用いられています。この他、アルギン酸ゲルは、胃薬として粘膜を保護する目的で使用されています。海の恵みの昆布。それは限りない活用の広がりを見せているのですが・・・。どんなに良いものでも、摂りすぎは禁物です。