カルシウム part2

「日本人の食事摂取基準(2010年版)」を参考にして栄養素の摂取量などを紹介していく第3回目は、カルシウムについてです。以前から「日本人はカルシウムが不足している」と盛んにいわれ、カルシウムを強化したパンやヨーグルトなどの食品も多いことから、最も有名なサプリメントの一つなのではないでしょうか。


 カルシウムといってすぐに思い出されるのが、骨粗鬆症。中高年女性に向けて「カルシウムを摂りましょう」と呼びかけられることが多いのですが、残念ながら、ちょっと遅い。もちろん、無駄というわけではないのですが、カルシウムは若いうちにしっかり摂っておくことが、骨粗鬆症の予防につながることが、近年、わかってきました。

 今回の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」において、カルシウムは、年齢別に細かく「推奨量」(1日の必要量を満たすとされる1日の摂取量)が設定されるようになりました。蓄積量や排泄量、吸収率なども示されるようになりましたから、より具体的で、より実践的な摂取基準になったといえるでしょう。

 ここで注目したいのが、10代の数字です。カルシウムの推奨量が最も高いのが、男女とも12~14歳(男子986mg、女子804mg)。この時期はまた、カルシウムの吸収率、蓄積量が最も高く、男子の13.4歳が最も多くのカルシウムを蓄積していることが明らかになりました。

 平成21年の国民健康・栄養調査をみると、10代女子のカルシウム摂取量は、わずかに400mg足らず。男子も500mg程度であることから、大幅に不足していることがわかります(20代以上の男性は511mg、女性は499mg)。吸収率が高いということは、それだけからだが欲しているということ。しかも吸収率は10代で最も高く、年齢ともに低下していきますから、この期間にしっかりカルシウムを摂り、十分に蓄積しておくことが大切なのです。骨粗鬆症の予防対策は10代(特に12~14歳の中学生のころ)のうちから始めましょう。


 なお、すでに骨粗鬆症と診断されている場合。カルシウムの吸収を助けるビタミンD3製剤を服用している人が、さらにサプリメントなどでカルシウムを摂ると、血中のカルシウム濃度が高くなり過ぎるおそれがあります。また、骨が溶け出すのを防ぐビスホスフォネート製剤を服用している場合、カルシウムを補給していただきたいのですが、薬と一緒に摂ると、薬とくっついて吸収されなくなるので、薬とカルシウムの同時摂取は避け間隔をあけて摂取ることが必要です。さらには、マグネシウムなど、他のミネラルとのバランスも大切です。

 このように、服用している薬によって対応が異なりますから、カルシウムのサプリメントを摂取するときは、医師からの指示を守り、薬剤師とも相談しながら、上手に利用するように心がけましょう。