マグネシウム part2

 「日本人の食事摂取基準(2010年版)」を参考にして栄養素の摂取量などを紹介していく第6回目は、マグネシウムです。「日本人はマグネシウム不足」ともいわれますが、摂取するときは、どんな点に気をつければよいのでしょう。


 私たちの体内にあるマグネシウムの量は、約25g。その50~60%は骨に存在しています。カルシウムやリンなどとともに、骨を丈夫にする役割を果たしています。残りは主に筋肉に存在。すべての細胞に広く分布し、さまざまな働きをしています。

 その一つが、300種類を超える酵素の働きを助けること。特にエネルギーが作り出される過程では、10種類以上の酵素がマグネシウムを必要としており、エネルギー産生には不可欠な栄養素といわれています。

 また、血液循環を正常に保つといった働きも。まだ不明な点も多いのですが、心臓病や高血圧を予防するのではないかともいわれています。平成20年国民健康・栄養調査の結果をみると、1日のマグネシウムの摂取量は20歳以上の男性で268mg、女性では239mg。食事摂取基準による推奨量は18歳以上の男性で320~370mg、女性では260~290mgですから、男女ともやや不足しています。さらに、ストレスやアルコールの摂取量が多くなると、マグネシウムの排泄量が増えるともいわれていますから、積極的に摂取したいミネラルです。

 サプリメントでマグネシウムを補充する場合は、下痢を引き起こすことがないように350mg/日を耐用上限量とされています。サプリメントの過剰摂取は避け摂取の目安量を守ることが大切です。その他、気をつけたいこととしては、他のミネラルとのバランスです。特にカルシウムとは、マグネシウム1に対してカルシウム2の割合が理想的とされています(マグネシウムの量がもっと多いほうがよいという意見もある)。マグネシムだけ、カルシムだけのサプリメントではなく、マグネシウムが添加されたカルシウムのサプリメントや、マルチミネラルのサプリメントなどを利用するとよいかもしれません。


 ダイエットによいとして一時ブームになったにがり。その本体は、塩化マグネシウムです。昔の塩がしばらくするとべとべとに潮解したのはマグネシムが犯人。マグネシウムは雑穀や海藻類、豆類など、あまり精製・加工していない食品に多く含まれています。例えばごはん1膳(150g)の場合、玄米では74mg含まれるマグネシウムも、半つき米では33mgと半減し、精白米では11mgまで減ってしまいます。マグネシムが取り除かれた食品を摂取することが多くなっている現代の生活。マグネシウム不足は、加工食品の摂取やストレスの多い現代社会の一面を表しているのかもしれません。