OTC薬、サプリメント思いつくままに

 インターネットでのOTC薬の販売を規制することは法律違反。そんな最高裁の判決が1月11日に下されました。ネットでのOTC薬販売が、事実上認められたのです。でも、この判決の根拠は、現在の法律ではOTC薬のネット販売を禁止する法律がないということであり、OTC薬の販売をネット上で行うことの安全性や、利便性などを検討して出されたものではありません。あくまで、現在の法律で規制できるかどうかということなのです。

 法律は、いつも社会の後を追いかけて来るものです。ある事件をきっかけに、ストーカー規制法の盲点が浮かび上がったとの報道がなされていました。1千件を超える嫌がらせのメールを女性に送信していたものです。この法律では電話やファクス、つきまといなどによるしつこい行為を禁じられていましたが、メールはその対象にはなく、この法律では立件できなかったということです。

 例えが適切でなかったかも知れませんが、薬剤師としてのネット販売に関する規制を違反とするものは、ネットの問題点を議論されることなく、薬のネット販売上の注意事項を、生活者に注意喚起することもなく、ただ法律があるかないかで審議されてしまった虚しさを感じました。

 OTC薬は、生活者が自己責任で購入するものだから、ネットで販売してもよい。「外出しなくても購入できるようにしてあげることが大切である。」「薬は、必要な時に必要なものが手に入るようにすべきである。」確かに、そうです。必要な時に必要な薬が手に入るようにする。しかし、それが必要な薬で、使用者に適切なものであるかを誰が判断するのでしょうか。薬剤師という資格を持った人間は、何のために存在しているのか。

 生活習慣病予防のための情報提供も大切だけど、薬剤師としての知識を、多くの人に伝えたい。そんな思いが、日に日に強くなってきました。せっかくの情報発信の場である、この原稿。今回からは、薬やサプリメントそして病気について薬剤師としての私の思い、薬剤師の視点をお伝えしたいと思います。

 先日、学校給食での食物アレルギーによるショック死という悲しいニュースが報道されました。学校という場で起こった事故。それを見ていたお子さんや先生。アレルギーのある物を摂取しない限り、全く普通に過ごすことのできるこの疾患について、正確な認識を持つことの大切さを考えさせられました。食物アレルギー。最近多くなっていると言われています。

 三大食物アレルギー物質、卵、牛乳、小麦。以前、子供の食物アレルギーの発症の予防のために、妊娠中の母親がこれらの食物を除去するとよい。これらを使用した離乳食の開始を遅くするとよい。母乳への移行を考えて授乳婦もこれらの食物を除去するとよいと言われた時代がありました。しかし、最近わかったのは、このような母親と児の食事制限をしても、児のアレルギー疾患の発症率は低下しないということがわかってきました。アレルギーの人は、それを避けることが必要ですが、避けることが予防にはならないということです。食物アレルギー発症予防ができないなら、できるだけ発見を早くすることが大切ですよね。何かを食べた時、蕁麻疹や下痢などするそんな時は注意信号です。次回は、食物アレルギーと薬についてお伝えします。