牛乳アレルギーと薬

   牛乳アレルギーと聞くと、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロ。牛乳で下痢をする。などといった症状が思い浮かびますが、牛乳(食物アレルギー)だから飲んだ(食べた)時に問題となるだけとは限りません。皮膚からも食べ物でアレルギーが起こる可能性があります。実際、牛乳アレルギーで、テーブルの上にこぼれた牛乳を触っただけで手が赤く腫れてしまった症例なども報告されています。このような人はもちろん牛乳を避ける必要があります。アイスクリームなど明らかに牛乳が使用されているとわかるものから、ソーセージのように牛乳蛋白の加水分解物が入っているような、一見しただけでは牛乳が入っていることがわからないものまであり、牛乳除去といっても大変です。

  薬の中にも牛乳中の蛋白質であるカゼインを含むものがあります。添加物として使用されている場合もありますし、下痢止めとして使用されるタンニン酸アルブミンのような薬もあります。タンニン酸アルブミンのアルブミンは、牛乳の中の蛋白質であるカゼインですから、牛乳アレルギーの方は避ける必要があります。

 ただし、注意が必要なのは牛乳をのんで下痢をしても、必ずしもアレルギーとは限りません。日本人の中には牛乳中の乳糖を消化できない、乳糖不耐症の人の存在があります。乳糖は、小腸粘膜にある乳糖分解酵素(ラクターゼ)という酵素で、グルコースとガラクトースに分解されるのですが、この酵素の活性が弱いと乳糖がそのまま分解されずに結腸に行き、そこで乳糖の存在により浸透圧が上昇し水分を大腸内に引き込んで下痢の原因となるのです。

 食品の摂取に関して、摂取の頻度を調査をすると、「毎日食べる」、「ほとんど食べない」という人の割合よりも、「週2~5回」、「月1~5回」の方が多くなるのだが、牛乳に関しては、「摂取習慣のある人」と「摂取習慣のない人」の2つのグループに分かれやすい食品であるという調査結果が報告されています。

 牛乳100ミリリットルには乳糖が約5グラム含まれているといわれていますから、ラクターゼの働きがかなり弱い人では下痢になるのです。乳糖はビフィズス菌などによって分解されるため、ヨーグルトは乳糖がかなり分解されていますから、乳糖不耐症の人でも下痢をすることは比較的少ないといえます。また、牛乳を少しずつ飲み続けることで腸内細菌が変化し、ある程度の量を飲めるようになることも知られています。

 もちろん、そんなに無理して牛乳を飲む必要はないと思われる方もいらっしゃるでしょうが、カルシウムなどの摂取には、牛乳はやはりとても優れた食品といえますから、少しは利用できる体質にしたいものです。