使用回数 数回

 ドラッグストアショーでの薬のクイズの回答と解説の4回目です。「全身が筋肉痛などで、何枚も湿布薬を貼った。○か×か」。正解は×です。湿布薬も用法・用量を守ることが大切です。

 ジクロフェナクを主成分とする湿布薬の添付文書には「1日1回患部に貼付してください。ただし、1回あたり2枚(大判のものは1枚)を超えて使用しないでください。なお、本成分を含む他の外用剤を併用しないでください。」と記載されています。

 古くからある湿布薬には、「1日数回患部に貼付してください。」としか記載がなく、これだと全身に何枚も貼ってよいと考える方もいらっしゃるかもしれません。以前、トクホンやサロンパスのようなプラスチック製フィルムなどに薬を密着させてあるプラスター剤(硬膏剤)を全身に貼り、胃潰瘍になった症例の報告がありました。これらの湿布薬は、痛みが局所的で、限られた部分に使用するものであり、全身に痛みがある場合には、飲み薬の痛み止めを使用すべきです。

 残念なことに昔から使用されている目薬、軟膏などの外用薬の中には、先に記した湿布薬のように、「1日数回」「適量」といったような記載がされており、具体的な使用回数や使用量が把握しにくいものがあります。いわば、常識的な範囲ということになるのでしょうが、「常識的」とは一体どの程度と考えたらよいか。その範囲は個人によって異なり、難しい問題です。

 ドライアイ用の涙液タイプの目薬。目の乾きを感じたからと、頻繁に点眼していたら、目薬に含まれる添加物の影響から、目に炎症が起きた。あるいは、眼球と涙の液層にあるムチン層が点眼のしすぎで影響を受け、かえってドライアイを悪くしてしまった。そんな例もあります。

 また交感神経刺激成分を含む目薬は、目の血管を収縮させて充血を除いてくれるのですが、使用しすぎると、かえって充血をひどくしてしまう可能性があります。交感神経刺激成分を含む点鼻薬は、鼻の血管を収縮させて鼻づまりを解消してくれるのですが、この点鼻薬の使用のしすぎは、点鼻薬性鼻炎といって鼻づまりをひどくしてしまう可能性があります。

 このように、外用薬でも過剰な使用は問題です。1日どのくらい使用したらいいのか。薬を購入するときには、具体的な目安となる用法・用量を確認されることをお勧めします。

 1日数回、数枚・・・。添付文書にはこのような、あいまいな表現がいろいろあります。「数日して」「しばらく使用してよくならない場合は」・・・。こんな記載があったとき、常識的な使用量・使用回数とは、いったいどの程度なのか。その「常識」がすべての人にとっての共通の認識となることが大切です。