フィッシュオイル

 オーストラリアの薬局に入って驚いたのは、サプリメントの販売面積の広さです。サプリメントの種類はそんなに多いとは思いませんでしたが、フィッシュオイルやn-3系(EPA・DHA)が山積みにされて販売されていました。ボトルの大きさにも驚きました。まるで、バケツのような大きさです。400カプセル、600カプセルといった量は、一年分。いや家族全員で利用されるのでしょうか。それに、どこの薬局、サプリメント販売店に行ってもフィッシュオイルは、山積み、子供むけの商品も数多くありました。その価格の安さにも驚きです。いっぱい売れているのでしょうね。

 フィッシュオイルにビタミンDが配合されたものも多く売られています。フィッシュオイルは、EPAやDHAを含みますから、炎症を抑えたり、血液サラサラ効果が期待できるとされていますが、日本ではその効果をうたうことはできません。ところが海外のサプリメントは、日本と異なりパッケージには色々な作用がうたわれています。参考までに、フィッシュオイルとビタミンD配合のサプリメントでは、「健康的な心拍リズム、心臓機能をサポート。健康的なコレステロールとトリグリセリドレベルを維持。手足の健康的な血流をサポート。動脈の柔軟性をサポート。関節の健康、快適性と機動性をサポート。骨密度の改善。若者から高齢者における認知機能を高める。転倒時の怪我を高齢者から守ります。カルシウムの吸収力を高めます。気分の劇的な改善、鬱的な気分の改善・・・などなど。」実に様々な作用が表示されています。

 牛肉などの動物性たんぱく質に偏った食事を、フィッシュオイルというサプリメントで補うということなのでしょうか。また、オーストラリアと言えば、紫外線が強く皮膚がんの患者が多いことで有名です。国をあげて紫外線対策が行われてきたのですが、過剰な紫外線カットは、皮膚でのビタミンDの合成を妨げることになり問題です。そこでサプリメントでビタミンDを補うのかなと考えると、納得してしまいます。

 自由貿易になれば、このような機能表示をしたサプリメントが日本に入ってくる可能性が高くなるのかなと思うと、本当に必要なサプリメントなのか、その安全性なども考えて、薬剤師は消費者の方に伝えていく役割があると思います。

 紫外線は、悪。確かにそういった点もありますが、皮膚でのビタミンDの合成に重要な役割を担っています。また、最近ではビタミンDが単にカルシウムの吸収に影響を与えることで、骨粗鬆症による骨折を防いでいるのではなく、筋肉を強くする作用も知られるようになってきました。なんて記載すると、それでは私もフィッシュオイルとビタミンDをとろうかと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、フィッシュオイルのとり過ぎは、出血等が問題になるかもしれません。ビタミンDの過剰は、高カルシウム血症からカルシウムが血管などに沈着し動脈硬化や、かえって骨を脆くしてしまう可能性もあります。結局、極端に何かに偏った食事はよくないということですよね。サプリメントの怖さは、過剰摂取にもあります。