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セイヨウヤドリギ
"I saw Mammy kissing Santa Claus, Underneath mistletoe last night." この季節になるとよく流れるこの曲で、ママがサンタにキスをしたのは、mistletoe(ミスルトゥ)の下でした。日本語でセイヨウヤドリギと呼ばれるこの植物は、常緑の針葉樹。その枝をボールのように球状に束ね、クリスマスの飾りとして用いられます。ヤドリギを漢字で書くと、宿木(または寄生木)。文字通り、カシやニレなどの大きな木(宿主)に寄生し、養分や水分をもらって大きくなります。いわゆるパラサイトなのですが、光合成はできるので、宿主の木が葉を落とす冬でも、セイヨウヤドリギは鮮やかな緑色のまま。昔の人にとってこの光景は、とても不思議に見えたのでしょう、古くから、神秘的な木、不思議な力が宿る木といわれてきました。
どんな木に寄生したかによって成分は異なるようですが、セイヨウヤドリギの主な成分は、蛋白質の一種であるレクチン、ポリペプチド、フラボノイドなど。さまざまな作用をもつ植物としても知られています。
その一つが、抗がん作用。免疫機能を活発にする働きがあるとされ、がんの進行を遅らせたり、症状を軽くしたりするのではないかと期待されています。実際にいくつかの試験も行われていますが、「効果なし」と「効果あり」、両方の報告があり、一定の見解は得られていません。
血管を広げて血圧を下げる、心臓の過剰な働きを鎮め、動悸や頻脈を抑えるともいわれ、中国ではソウキセイ(桑寄生)という名前で、膝や腰の痛み、手足のしびれや冷えなどに用いられることもあります。
まだまだ不明の点は多いのですが、免疫や心臓の機能に影響を及ぼすことは否定できません。免疫系の疾患、心臓病、高血圧などがある人、免疫抑制薬、降圧薬などを服用している人は摂取を避けたほうがよいでしょう。
日本ではハーブティ以外でセイヨウヤドギリのサプリメントを目にすることは少ないのですが、気持ちを落ち着ける作用を期待して一般用医薬品の催眠鎮静薬に、あるいは髪や皮膚の保護・保湿によいとして白髪染めや化粧水などに配合されていることもあるようです。
セイヨウヤドリギで作ったクリスマス飾りの別名は、「Kissing Ball」。この下では、男性は好きな女性にキスをしてもよく、キスを拒んだ女性は、翌年、結婚できないとの言い伝えがあるそうで・・・。ちょっと女性に不利かも!